未来食堂日記(飲食店開業日記)

あなたの”ふつう”をあつらえる、未来食堂が開店するまで

2015年秋開店予定。神保町が第一候補。
本当に神保町徒歩3分の物件が見つかりました。
千代田区一ツ橋2−6−2 日本教育会館様B1。小さな定食屋です。

コンセプトは、5%も伝わらない。

こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"を誂える』未来食堂が開店するまでの日記です。
 
最近は、創業支援の申請や税理士の先生と打ち合わせすることも多く、
事業計画書を元に話をする機会が増えてきました。

今日は、そんなビジネスシーンから友人に夢を語るシーンまで、様々繰り返している
「コンセプトを語る」ことについて、思うことをお話しようと思います。

事業計画書については近々公開したいと思っています。お楽しみに…。

 

■未来食堂のコンセプト

未来食堂は『あなたの”ふつう”をあつらえる』をコンセプトとした定食屋です。
事業計画書からその辺りを少し抜き出してみます。

未来食堂では通常のメニュー(唐揚げ定食や焼魚定食など)に加えて、以下のような”あつらえ”が可能です。
 
・希望する材料を使ったおかずの提供
・気分や体調に合わせたおかずの提供
 
 未来定食の”あつらえ”は、凝ったものではなく、ささやかな手間を加える程度です。しかし、お客様の要望を真っ直ぐに取り入れた、そのお客様 ”だけ” の一回性のあるおかずとして、特別感のある物となります。凝ったものを出す付加価値よりも、「自分だけに提供された1品である」嬉しさを付加価値とし、廉価なままで、高価格帯の飲食店のようなサービスを提供します。
 古来、オーダーメイドという概念は ”あつらえ”と呼ばれていました。未来食堂では、この美しい日本語のもつ雰囲気を大切にします。
... 
あるお客様にとっては ”特別な” 一品として提供したものは、同時に誰かの ”ふつう” でもあります。例えば、ある方の要望を聞いてあつらえた「やや甘くした卵焼き」の余りを、次の方の小鉢に添えて出しても、特別性はなく普通の一品として映ります。誰もが特別なもてなしを受け、かつ、誰もが ”ふつう” なのです。
 
『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』
これが未来食堂の根底にあるメッセージです。
 
 人と人との結びつきが希薄化している現代日本において、未来食堂では、来店されたお客様と真正面から向き合い、”その方にとって” 良い物を提供する。スケールは小さいながらも、このような豊かな場所をこの国に存在させること・知らしめることが、未来食堂の事業目的です。

と、長く抜粋しすぎてしまいました。

  

■コンセプトは、語り尽くせない

そうなのです。コンセプトは思いの根幹ですから、どうしても語る言葉が熱くなります。
通常はここまで話すことはなく、「好きな材料を選んであつらえが出来るんだよ」という程度をお話します。例えば「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所を目指す」という真意は、あくまでウラに隠しています。

■コンセプトは、伝わらない

でもね、「好きな材料を選んであつらえが出来るんだよ」という程度でも、
これがビックリするほど伝わらないのです。

Aさんにコンセプトを話した後、AさんがBさんに未来食堂の説明をしているのを聞くと、
えっ?!それなんかぜんぜん違うと驚かされることが度々あります。

というか、
驚かなかったことはありません
いつも大体ずれてます

 

■誰が悪いという話ではない

コンセプトが伝言ゲームのように曲解されているからといって、当たり前ですが相手を責めるつもりは毛頭ありません。コンセプトを分かりやすく伝えられていない自分の責任です。
100%の伝達を目指す(最近はだいぶ精度が上がってきました)のは当然として、
曲解されて数パーセントしか伝わっていない状態はチャンスでもあります。
いったい何がその人の関心を引いたのかを確認できるまたとない機会だからです。

 

■人は覚えたいことしか覚えない

”人は覚えたいことしか覚えない”。
これは脳生理学や心理学を持ってくるでもなく、極普通に納得できる事かと思います。
今まであった曲解のパターンを振り返ってみると、
 
「健康かつ美味しい料理の定食屋」
→未来食堂は「その人の望むものをあつらえる」ので、それが健康だとか美味しいだとかは本質でないと考えています。でもこう解釈した方はきっと、”健康かつ美味しい”がアンテナに引っかかったのでしょう。

 
「カップラーメンでも美味しく食べられる定食屋」
→なんか近いけど色々飛びがあります。『っていうかそれだけ話してもBさんには伝わらないよ』と心で一人ツッコミをした瞬間でもありました。きっとこの方は、カップラーメンさえも食べられる新規性、どんな人でも受け入れる姿勢がアンテナに引っかかったのでしょう。

 
「すごくマニアックな料理を出す定食屋」
→なんか全然違うっ!とは思いましたが、この方は今までにない珍しさがアンテナに引っかかったのでしょう。

 
まだまだキリはありませんが、ここまで万華鏡のようにイメージが分裂していることを、喜んでもいます。
分かりやすいことだけ言っていれば伝わる率も上がるかもしれません。
でもまだ”ない”形だからこそ、話を聞いてくれた皆さんが、色んなイメージを当てはめて解釈してくれています。それが有難く、貴重なヒントになっています。

 

■5%を伝えるために

色んな人にコンセプトを話してきて、いつしか
5%でいい。5%でいいから伝わってほしいと思うようになりました。
5%で十分なんです。
ほんの少しでも面白さが伝わってくれれば、”あつらえかーなんか楽しそう”とだけでも思ってくれれば、上出来です。

本当は、あつらえ自体ですらとても表層的な話です。
「あつらえを通して自分が実現したいこと」は、上にも書いたとおり別にあります。
でもそこまで伝えきる必要はありません。
数%を感じただけでも”なんかいい店そうだな”と思えるくらい、コンセプトの母体をふくらませていけばいい。最近はそう思うようになりました。


 
このブログを読む皆様は、未来食堂にどんなイメージを持ってくださっているのでしょう。
 
それは私が思っている像と違うかもしれません。
でも、それでいいんだと思います。
それがいいんだと思います。


 
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/