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未来食堂日記(飲食店開業日記)

あなたの”ふつう”をあつらえる、未来食堂が開店するまで

2015年秋開店予定。神保町が第一候補。
本当に神保町徒歩3分の物件が見つかりました。
千代田区一ツ橋2−6−2 日本教育会館様B1。小さな定食屋です。

お客様に無料でお茶菓子を振る舞う理由(飲食店に見る制御の反転)

こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"をあつらえる』未来食堂が開店するまでと、その後の日記です。

 
先日、ハーバー・ビジネス・オンライン様の取材記事にて、未来食堂が概念としてITシステム設計を取り入れているというお話をしました。

例えば、『ハリウッドの原則』(※1)というのはエンジニアの世界ではよく知られた話です。アプリからフレームワークを呼び出すのではなく、フレームワークが先にあって、それが必要に応じて個々のアプリのメソッドを呼び出すということをハリウッドの監督と役者の関係に喩えたものなんですが、未来食堂のシステムはこれに似ています。…お客さんの要望や行動をリクエストとして捉え、最適なフレームワークを組み立てることで質の良いレスポンスを効率的に返す。未来食堂は一見ITの皮を被っているようには見えませんが、裏にあるのはITシステム設計の考え方です」
数学科卒エンジニアが「食堂」を起業した理由 | ハーバービジネスオンライン

 
今日は、このことについて具体的に、特に「ハリウッドの原則」(制御の反転)について解説しようと思います。

 

無料でお茶菓子?

未来食堂では、食事がお済みのお客様がゆっくりされている場合、更に空間を気持ちよく使っていただくため、食事盆を下げて代わりにお茶盆をお出ししています。小さなお茶菓子を添えてお出しし、安心してくつろいで頂けるよう計らっています。
f:id:miraishokudo:20151207185236p:plain:w300
箱根寄木細工 寄木トレー 小寄木(小)
(写真左の小さいもの。寄木細工がレトロでいい味)
 
これはもちろんサービスで、無料です。
なぜこういった取り組みをしているのか、これにはいくつか秘密があります。

 

お客様満足度向上のため

言うまでもなく、サービスされたお客様は嬉しがってくださるし、また来ようとも思ってくださるでしょう。お客様にとって良い空間を作ることは、重要です。
 
でもなぜ自腹を切ってまでサービスするのか。それは、もう一つの理由のためです。
 

店側が混雑の主導権を握るため

(こういった書き方は嫌だと感じる人がいるかもしれませんが、きちんと最後まで読んでいただければ、”店側の都合”で留まっていないことが理解頂けると思います)

未来食堂では、効率化のために店側が意図的に握っていることが幾つかあります。混雑をコントロールする力(権利)はそのうちの一つです。
どうして無料のお茶菓子で混雑度合をコントロールできるのでしょうか。それは、無料のお茶菓子は、無料ゆえに、メニューとして存在していないからです。つまりお客様側ドリブンになり得ないアクションなのです。お客様からは呼び出すことができません。

 
通常の飲食店で、メニューの中に”コーヒー(150円)”がある場合を考えてみましょう。
ランチピークという戦争真っ最中の厨房の中では、めったに頼まれないオーダー(この場合はコーヒー)が来ると阿鼻叫喚なんです。
 
皿が隙間なく並べられている作業台の上を一回片付け、めったに使わない珈琲器を棚上からだし、コーヒーカップを取り出し、湯を沸かし、、というのを全部の作業を止めてしないといけない。
もうシッチャカメッチャカです。ここから先すべてのお客様のサーブが2分づつ遅れ出します
冗談ではなく、実際にとある厨房で起こっていたことです。

 

・150円を払ってきちんとしたコーヒーが飲める、以降のお客様は食事提供が遅くなる。店側は150円得をする。
・無料でサービスコーヒーが飲める、以降のお客様に対する影響なし(影響がある場合は提供しないため)。店側は20円損をする

 
どうでしょう、どちらを取るほうが良い作戦でしょうか。
メニューとして掲げるということは、お客様にオーダーの権利を渡すということと同値です。
作業が詰め詰めの時にオーダーをコールされてはてんてこ舞い。店側がオペレーションの主導権を握れていません。
未来食堂は、お菓子やジュースの原価を払ってまでもこの主導権を握り効率的に動くことで、更に心地いい空間を実現させています。
 
お客様から呼び出すのではなく、お店側がベストなタイミングで提供する(例えばランチピーク時には出さないけれど、14時以降に出すなど)。
これはアプリケーション設計に見る制御の反転と同じ概念です。

 
今回は少し理系よりで難しい話だったかもしれません。
でも、一番大事なことは、こうやって工夫を重ねることで更にお客様に心地いい場所を提供することだと思います。

 
お茶菓子、出したいのですが、今月は取材が大きな反響(現時点で事業構想様の記事が6万シェア)を呼んでおり、さらに大きな媒体も予定されているので、さすがにてんてこ舞いになっていそうです。。すみません。。頑張っているのですがさすがにどうにもならないです。。


ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/

(千代田区一ツ橋2−6−2 日本教育会館様B1。9月13日OPEN。神保町駅徒歩3分)