未来食堂が考える、飲食店の内装設計(厨房設計)の指針
こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"をあつらえる』未来食堂が開店するまでの日記です。
近況
未来食堂は現在、内装工事中。
昨日は、使いたいランプシェードの配線や高さを確認しました。
毎日修行先を飛び出て、工事現場に足を運びやりとりしています。
8月末のぎりぎりまで、精一杯勉強させてもらおうと思います。
飲食店の内装設計
未来食堂はスケルトン物件。一から自分で図面を書く必要があります。
客席設計
客席に関しては、未来食堂はカウンターだけの定食屋なので、あまり遊ぶ所もありません。せいぜいカウンターの奥行きや高さ、通路の幅をどうするか決めたくらい。なので客席設計に関してはあまり考える要素はありませんでした。
厨房設計
問題は厨房。ランチピークも一人で乗り切るミッションがあるため、効率的な厨房である必要があります。
その命題からなぜこの図面になったかは、また改めてお伝えできればと思うのですが、自分の指針を書き残そうと思います。
工事は変更/決断の連続
実際に工事が始まると、『排気がこう這っているから、ダクトが置けない』『図面と計測値が違う』『想定していた電気容量では足りない』等、予想していなかった事が頻繁に起こります(毎日起こっている様な気がします)。そんな中で、「どうしますか?どっちがいいですか?」とその場で聞かれて決めないといけない。だからこそ必要なのは、判断基準(指針)だと思うのです。
厨房設計の指針
私が大事だと考えているのはこの3つ。上から優先順位が高いものです。
安全であること
大前提ですが、ついつい忘れてしまうものではないでしょうか。
実際、自分が修行をしている中で、高さ190センチの所にアルミのバットを積んでいる厨房があったのですが、危なくて仕方がない。こういうことは避けなければいけません。
清潔であること
厨房って実際…汚い所が殆どです。
作業台に油のつららがある…なんてところもざらにあります。いいことではない。”清潔”を『汚れがたまりにくい事』と『掃除がしやすい事』の2要素に因数分解し、どちらかは必ず満たすようにします。
効率的であること
最後に『効率的であること』が来ます。大事なのは、安全かつ清潔であること。これらを満たした上での効率性です。
実際の例
例えば、熱源(ガスコンロや揚げ台など火力のある機器)の床は、金属板を引いて3センチほど上げています。
この図面の、青色の線の所ですね。
これは、床に落ちたゴミが熱源奥に転がり込むことを防ぐため。器具の裏側に落ちたゴミは掃除しても取りきれません。そして食材ゴミは腐ります。。
厨房床がウェット構造(耐水加工)であれば、閉店後にホースで水を流し、器具下の隙間にあるゴミを取り除くことが出来るのですが、未来食堂はドライ厨房なので、水流でゴミを取り除くこともできません。
器具の足を高くするか、ゴミが入り込まないように合板で塞ぐか。ウェット構造にするのはものすごくお金がかかるので不可能だし…。悩んでいると、読んでいた本(厨房設計の知識)に”床を上げる”というTipsをみつけました。
床に段を作ると工事費も高くなってしまうのですが、数センチの金属板を床に埋め込む程度であれば材料費で出来るとのこと。早速お願いし、この図面になったという経緯です。数万円はかかりますが、清潔であることを満たすためにこれは支払うべきところだと判断しました。
『徹底的に効率的な厨房にするんだ!』とついつい気持ちも先走ることもありますが、そもそも安全でなければ意味が無い。安全か?清潔か?を自問することによって、判断もブレがなくなりスムーズになりました。
参考書籍
一番参考になった本はこちら。
[新版]これだけは知っておきたい 厨房設計の知識
この本は、ホテルの厨房を設計する視点で書かれているのですが、安全や衛生面への取り組み、実際の図面が豊富です。飲食店開業者は必読だと思います。
絶対読んだほうがいいです。
ちなみにこれは、客席内装のイメージを共有するために作ったドキュメント。
今日、大工さんに見せてきます。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1hAlWCCr1pFCMho9Z59012zLPQcVxle8rVIvKVoUUSjE/edit?usp=sharing
伝わるかな。。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/