料理人が教える、包丁の研ぎ方(準備編)
こんにちは。 このブログは『あなたの"ふつう"をあつらえる』未来食堂が開店するまでの日記です。
先日、包丁の選び方について記事を書きました。
この中で簡単に砥石について触れているのですが、せっかく読んでくださる方のために、砥石についても自分の知識を纏めておこうと思います。
包丁も道具。良い物を買っても、メンテナンスしてなんぼです。
それでは見ていきましょう。
お断り
以下内容については、個人的な見解です。刃物専門店が行う研ぎ講習には何種類か参加していますが、研師というほどではありません。研ぎ方は多々あると思いますが、以下内容はあくまで私の方法です。
研ぎとは?
包丁の刃面の凸凹を平らにし、元の切れ味に戻す作業です。
なぜ研ぐの?
包丁は使っているうちに消耗し、刃面が凸凹になるからです。
いつ研ぐの?
個人的には玉ねぎ一個をみじん切りにして目にしみてきたら研ぎ時です。
よく切れる包丁で玉ねぎをみじん切りにしても、なんか目がもやーんとするな、程度。目は痛くなりません。刃が滑らかだと、玉ねぎの細胞を潰さないため、目が痛くなる成分が殆どでないのです。
トマトを切って皮が繋がってるようであれば研ぎ時という目安もありますが、個人的にはトマトが切れないなんて遅すぎる…と思います。
逆に毎日研ぎます!という方もいるようですが、毎日研ぐと刃がどんどん小さくなってしまいます。そこまでの必要はないかと思います。
私は週一くらいです。
用意するもの
包丁を研ぐために必要なのは砥石です。
自分が持っているのはこの三種類。左から順に、「仕上げ砥」「修正砥」「中砥」です。
仕上げ砥とは
中砥で研ぎ終わった後に使う、更に砥面を綺麗にするための目が細かい砥石です。1000〜3000番くらい(番号が大きいほど細かい)。
私が使っているのは#1000と#3000が両面についています。
修正砥とは
砥石は使っているうちに凸凹してきます。砥石の面を水平にするための、砥石の砥石です。
中砥とは
包丁を研ぐ時に使う一般的な目の粗さの砥石です。一般的に400〜1000番くらい。写真は#400。
この三種類がいいんだ?
おすすめ砥石は下に纏めています。詳しくはそちらをどうぞ。
研ぐ前の準備
砥石を水に浸します。水が少ないと、石で直接刃をこすることになり摩擦熱が発生します。この熱で包丁がやられてしまいます。しっかり水に浸しましょう。
本などでは『バケツに水を張って』とよく書いてありますが、バケツを持っていなくてもこういうスーパーのビニール袋なんかで十分です。
破れやすいので気をつけて。
口を縛れば出来上がりです。30分以上置いておきます。
研ぐ前の状態
研ぐ前の包丁、アップにしてみると刃こぼれがあるのが分かります。
この刃こぼれを取り除くのが目的です。
目的がないまま研いでいると、研ぎ終わりの目安も分からず困ります。
刃こぼれがあると、そこを修復するという目的が出来、分かりやすくて良いです。
全体で見ると刃こぼれは瑣末で分かりません。目を近づけてよーく見てみましょう。
ちなみに使ってる包丁はこちら、詳しくは前記事をどうぞ。
関虎徹 V金10号 鍔付 三徳包丁 180mm YG300
砥石の修正
包丁を研ぐ前に、まずは砥石を研ぎます。
砥石は使っていると、削れて凸凹してきます。
触ってみて、表面が真っ直ぐでない場合、修正砥石で砥石を面直しする必要があります。
手の感覚に自信がない時は、真っ直ぐなもの(定規等)をあてて水平さをチェックしてみましょう。
コンクリートや目の粗いヤスリ板でこすってもいいです。
ちなみに、色んな厨房を見てきましたが、面直しをされている砥石に出会うことはありませんでした。きちんとした料亭ならしっかりやっていると思いますが、だいたいの人がお椀のように湾曲した砥石で研いでいます。そうなると包丁にも凄い変な癖がつくのですが、それも持ち味ということでしょうか。うーん。。
面直しをすると、研糞(研泥とも)が出てきます。写真の泥水です。この研泥があることで包丁が研げます。修正砥石で研泥を短時間で出すことによって、結果的に早く刃が付きます。面直しは、刃物屋の方に聞くと必ず「一本研ぐごとに面直しして下さい」と言われ、面倒くさいなーと思いがちですが、結果的に早く刃が付くので苦になりません。
研ぎ終わった後かたづけ前に面直しするのもいいと思いますが、私は上記のように研泥を出すことも目的としているので、研ぎ前に面直しをしています。
それでは研いでいきましょう!
と思ったのですが、長くなるので別記事に分けました。
準備だけで終わってしまい申し訳ありません。
その分丁寧に解説したいと思います。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。 http://miraishokudo.com/