料理人が教える、キャベツの千切り(少量編)
こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"を誂える』未来食堂が開店するまでの日記です。
このブログに来られている方の動きを追っていると、
『キャベツ 千切り』
『牛刀 サイズ』
がかなり高い検索キーワードとなっています。
このブログはキャベツの千切りブログではないのですが、
原因はこちらの記事↓
以前働いていた老舗仕出屋で、キャベツの千切りがなってないと説教されその修業に励んだという内容です。ですので、千切りの方法自体は書いていません。
ですがせっかく千切り目的で来てくださる方が多いのですから、今日は千切りについて書いてみます。満足頂けるよう、とことん語ります。
※包丁の選び方についてはこちらを御覧くださいね。
はじめに
食材の切り方に正解はありません。あくまで個人的な見解です。
料理をしてお金をもらっているプロの中にも「千切りは苦手」という人は結構います。
まだまだ精進中の私の千切りはこんな感じです。
けっ!俺っちの千切りは目にも見えない細さでい!という(グルメマンガの敵役キャラのような)方はとくにこの記事を読む必要はないと思います。
料理本とか見ていると、そこそこ細いほうだとは思います。
キャベツの千切りとは?
キャベツを細かく刻むことです。とんかつの横に添えられていたりしますね。
千切りの方法は?
キャベツの千切りには大きく2通りの方法があります。
切る量によって使い分けます。
- 少量のキャベツを綺麗に千切る方法
- 大量のキャベツをだいたい綺麗に千切る方法
この2つを順にお話しますね。
なぜ千切りが必要なのか
キャベツは繊維があり硬い葉物ですが、千切りにすることで柔らかい触感になります。
火を通さなくても柔らかくなるのでサラダや添え物に適しています。
また炒めものに使っても細かい糸状のため調味料が絡みやすく
箸の進む美味しい炒めものができます。
プロはどうしているか
大抵の飲食店では専用の機械を使っていると思います。機械切りです。
手切りと機械切りの違いは
特にないと思います。機械切りは幅が細く揃うので、逆に不自然だと言う人も居ますが
味は変わらないと思います。機械切りでも美味しいです。
ここでは手切りを紹介します。
必要なもの
よく切れる包丁、キャベツ、まな板
”よく切れる”の目安は?
個人的には『玉ねぎを1個全部みじん切りにしても目に染みない』程度です。
玉ねぎを切ると目に染みるとよく言いますが、よく切れる包丁で切ると
玉ねぎの細胞を潰さないため、目が痛くなることはありません。
一個丸々みじん切りにしてようやく『目がもやーんとしてきたな』程度が目安です。
切れ味の悪い包丁では細く切れません(つながってしまったり)。
「トマトが切りづらくなってきたら」等々色んな目安がありますが、
トマトが切りづらいなんて手遅れすぎる!と個人的には思います。
研ぎ方についてはこちらにまとめました。
包丁のサイズは?
包丁の長さは、ある程度長いものを使います。
ペディナイフ程度の長さでは包丁自体が軽すぎて
切る時にまっすぐキャベツに入っていきません。
あまり長すぎると重くなるので、この辺りは好みかと思います。
この写真では24センチ牛刀で切っていますがちょっと大きいです。
ちなみにこちらの包丁です。
藤次郎作DPコバルト合金鋼割込(口金付)牛刀240mm F-809
少量のキャベツを綺麗に切る方法
一枚の葉を千切りにする方法です。
とんかつの添え物など、一皿に盛る程度の量がとれます。
2番めに外側に付いている葉をもぎ取ります(1番外側は捨てる)。
芯を取ります。
葉っぱを丸めます。
端から切っていきます。(左手のブレスレットについてはお見逃しを)
刃の入れ方
このようにまっすぐ刃をおろします。
これはNG例。
斜めに刃を入れると、上側は細くなるのですが下側(まな板のすぐ上)のキャベツは太くなってしまいます。
斜めに刃を入れた千切りと比べてみました。
手前がまっすぐ刃を入れたパターン、奥が斜めに刃を入れたパターンです。
奥の方が太い(太いものが混じっている)ですね。
おそらく斜めに切ると包丁に力が伝わりきらないのだと思います。
細さの目安
千切りが細いと、葉脈が玉状になった、こういうネックレス状の筋が交じります。
葉がまっすぐで葉脈の玉が繋がる形状になるのは、キャベツの外側数枚の葉だけです。
(キャベツは、内側に行くほど葉っぱが若くて丸まりきらずくしゃくしゃします)
なので飲食店に行った時に『ネックレス状の筋』が多い千切りであれば、
おそらく手で千切っていている(上の葉を数枚はがして手で千切っている)可能性が高いです。
すごい。
左手の構え
左手は”ネコの手”。指先を丸めて切ります。
第二関節と第一関節の間の平らな面に、包丁の腹が当たるように切っていきます。
その際に、親指が「グー」からはみ出していると切ってしまいます。
ですので、親指の先は人差し指の先に軽く合わせるようにします。
こうすると親指の先が包丁の方に飛び出さないので、指先を切る事故が防げます。
足の構え
包丁はまな板の側面と並行を保つようにします。
刃全体が側面と並行なのが分かりますでしょうか。
まな板に向かってまっすぐに立つと、刃先が左側を向いてしまいます(右利きの場合)。
上半身を45度右に向けると良いのですが、ついつい忘れてしまいます。
実は水平に切るポイントは足にあります。
まな板の前に立ち(グーが1つ分入る程度)、右足を約90度外側に向けます
そうすると体が自然に45度右を向きます。
これでバッチリです。
なんでまな板と並行?
細く切る時にとにかく大事なのです。
刃先がぶれていると一刀一刀の角度が微妙にずれてきます。
そうなると、厚さが不均一な薄切りになっていまいます。
たとえば人参を丸のまま薄切りにしてみると、刃の角度が大事なことに気付かされます。
今回はキャベツ(厚みがないもの)の千切りですので、
角度がずれていてもそれほど影響は出ませんが、千切りはミリ単位の話なので
やはり足は意識して正しい位置に置きましょう。
細さのポイント(切り方)
包丁を横に移動させようとせず、同じ所を切る位の感覚で切り続ければ細い千切りが出来ます。
包丁の腹で左指を押すことで少しづつ進むようなイメージです。
少しくらい太いものがあるのも手作業の味ということで。
でも慣れてくると、細くなってきます。
『大量のキャベツをだいたい綺麗に切る方法』は?
この記事も長くなってきました。それは次の記事にいたしましょう。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/
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(キャベツの記事見たよ!と言ってくれたら喜びます)