なぜ大戸屋の食事提供は”遅い”のか?〜客席からみるオペレーション〜
こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"を誂える』未来食堂が開店するまでの日記です。
今日は修行先の大戸屋を題材に、以前の修行先サイゼリヤと比較することで、
オペレーションについての学びを書いてみます。
大戸屋といえば
有名定食屋チェーン。店内調理が売りでセントラルキッチンはありません。
そんな人気の高い大戸屋ですが、一方でこんな声もあります。
大戸屋はほんとに遅いですね。
サラリーマンが昼休みに来たら大変じゃないかな。
昼休み終わっちゃいますね。たまにサラリーマン見かけるけど。
どこの店舗も当たり前のように遅いですね。
《雪谷マップ》-【五反田@東急池上線】-【大戸屋】
そうなのです。
大戸屋は遅い…これは良く耳にするコメントです。
サイゼリヤといえば
安いイタリアンとして有名なサイゼリヤですが、その素早い提供時間も厳守されています。
15分以内は絶対死守です。
キッチン作業から徹底的にムダをなくす。
IEを駆使して最短時間で、最も確実に、最もラクにできる方法を突き詰める。
今日はこの2つの違いを客席側から見てみましょう。
最初にお断り
この記事は個人的な見解にすぎません。
「配膳時間はどの程度であるべきか」は個々考えが異なるものであり、
大戸屋が遅いと批判している訳ではありません。
大戸屋がそれで良いというならそれで良いのです。
実際どうなのか
厨房の中にいても、やはり提供時間の遅さは感じます。
いつもいつもではありませんが、数%の割合でも15分を遅れたら大変なことだと個人的には思うのです。
なぜ遅いのかは、実際に中で働いていると見えてくる所もあります。
しかし例えば調理方法の○○がXXで、だから時間がかかるんですよ―
と言った内容は社外秘であり、ここでは書けないので伏せておきます。
でもね。
”なぜ大戸屋は配膳が遅いのか” は、客席にいても ある程度ヒントが見えてきます。
『料理を運ぶ人数が少ないから』?
確かにそれもあるかも知れません。
でもその視点(稼働人数)はよくあるレベルの話です。
ここではちょっと視点を変えて「お皿」に注目してみましょう。
”配膳が遅い”とは
そもそも”配膳が遅い”とは、具体的にはどのようなことなのでしょうか。
改めて”配膳(食事提供)”をいくつかの因数に分解してみます。
料理を仕込む→料理を作る→皿を出す→皿に盛る→料理を運ぶ
もちろんもっと細かく分けられます。ひとまずはこの中で『皿』について見てみましょう。
皿?
同じような料理が違う皿に盛り付けられています。
焼魚を置く皿も数種類あるようです。
お茶碗にも二種類あるようです。
かわって、サイゼリヤのお皿を見てみましょう。グランドメニュー|サイゼリヤ
基本的に皿はどの商品も同じイメージがありますが…実際に見てみると、
取り皿(左上)と料理を出す皿(右下)が同じ皿です。
スープの敷皿と料理を出す皿(右端)が同じ皿です。
なんと、デザートを載せる粋な小皿も取り皿と同じ皿です。
皿の種類?
勘のいい皆様ならお気づきのはず。
そうです。皿の種類が多ければ多いほどオペレーションが膨れ上がるのです。
例えば、
- 皿をしまう場所
- 洗った皿を一旦置く場所
は、皿が2種類あれば2箇所必要なわけです。
調理後、皿を選び取り出す作業も
皿の種類が多いほど時間がかかります。
体感ですが、皿が1種類→3種類になるとオペレーションは5倍に膨れる、
と言っても過言ではありません。
そうは言っても、
大戸屋の色とりどりの食器は、食器を大切にする和食文化に沿っています。
なので、これが良い悪いというお話ではありません。
あくまで提供時間を考えた時に『皿』はある程度ヒントになるという話です。
これなら客席から見えることですし、社外秘でもないですしね。
オペレーションの効率化にはこんな要素もある、という一例でした。
こんな感じで毎日ごはんを作っています。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/
(2015年7月、神保町徒歩3分日本教育会館様B1でOPEN予定)
(大戸屋修行の記事見たよ!と言ってくれたら喜びます)