未来食堂日記(飲食店開業日記)

あなたの”ふつう”をあつらえる、未来食堂が開店するまで

2015年秋開店予定。神保町が第一候補。
本当に神保町徒歩3分の物件が見つかりました。
千代田区一ツ橋2−6−2 日本教育会館様B1。小さな定食屋です。

未来食堂のお弁当(懐かしくて新しいおかずとは)

こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"を誂える』未来食堂が開店するまでの日記です。

先日は、『仮想の駅の駅弁』『どこにもない駅で売っている どこにでもあるような駅弁』を土台としたお弁当を作りたいというお話をしました。今日は、そんな不思議なお弁当について詳しくお話してみます。
 

なぜ駅弁なのか

そもそもどうして”駅弁みたいなお弁当”にこだわるのか。
それは単純で、なんだかそのほうがワクワクするからです。
最近はコンビニでも惣菜屋でも、パッと見は華やかなお弁当が多くなったと感じています。
自分自身オリジンで働いていて、お弁当の華やかさには目を引きつけられたものでした。
ですが、よく見るとその華やかさは容器の柄や仕切りのおかげ…という事も少なくありません。
最近の弁当容器って薄く大きくなっている傾向にあると思います。
確かにそのほうが高級そうに見えるんですけどね。

特に仕切り!最近やけに仕切りが多くないですか。
仕切りがある方が作業が分業化できるし、見た目も華やかになるのも分かるのですが、
なんだかスカスカな感じというか、メインのおかずを食べた後の光が消えた感じ というか。

それに比べて、駅弁の 掘っても掘ってもおかずが出てくる感じ っていいと思いませんか。
なんだか訳の分からない変なおかずも多いけど(あんずとか)、
それを含めてわくわくするというか、許せる愉しさがあると思うのです。
ワクワクするけどホッとする。そんな空気が駅弁にはあります。
 

”駅弁っぽさ”とは

そうは言っても、年に数回買う旅行客をターゲットに『変わらないロングセラー』を売り出す駅弁と、ビジネス街で売る『毎日違う楽しみがある』お弁当は別物です。
日替わりだけど、駅弁ぽい」はどうすれば実現できるのか。難しい問題です。
 

”アイコン”が欲しい

別の観点の話になりますが、弁当を見た時に一目で
ああ、これは未来食堂のお弁当なんだな」と分かるような特徴(アイコン)も欲しいです。

例えば、バラエティ豊かなおかずの色鮮やかなスタイリングで人気の”チオベン”は、とても個性的なお弁当をたくさん作っていますが、ほぼ必ず入っているのが『春巻』なのです。
揚げ物はお弁当の華だし、冷凍できるから作るのも楽だし、家庭ではあまり作らない。。
『春巻』をアイコンにするのはかなり良案です。
チオさんの本を読んだ時にむむむっと感心したものです。


チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当

こんなアイコンが未来弁当にも欲しい。これも難しい問題です。

そんな中、ある本にヒントを見つけました。
 

“駅弁三種の神器”とは

“駅弁三種の神器”、これは数々の名駅弁を手がける横山勉さんの本に載っていた概念です。

駅弁革命―「東京の駅弁」にかけた料理人・横山勉の挑戦 (交通新聞社新書)

駅弁三種の神器とは『かまぼこ/玉子焼き/焼魚』を指します。

なるほど。
駅弁によく入っているおかずを入れたら駅弁ぽくなる訳です。
でもこの3つはよく入っている物なので差別化(アイコン化)は出来ません。

駅弁といえば…煮物。

煮物って美味しいけれど、とても地味な存在です。
「煮物弁当」
これを買う人は多分いないと思います。あまりに地味な感じです。

ちょっとあれば嬉しい。
改めて食べてみるとしみじみ美味しい。
そんな存在が「煮物」です。

でも、弁当のおかずとしてレギュラーにするのもなんとも地味な感じです。
アイコンとして華がありません。

なら、別だしにして”おまけ”にすればいいのでは
そんな時、頭に浮かんだのが『峠の釜めし』の ”香の物” でした。
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峠の釜めし本舗おぎのや

この写真をみてお分かりのように、峠の釜めしには香の物が付いています。
(右のプラスチックのおままごとみたいな容器です)

これは、個人的にはそんなに美味しくはなかったのですが、
おまけでチマチマと付いてくる感じがなんとも嬉しく、駅弁感があるなあとしみじみしました。

これです!
”煮物”がおまけで一口付いてくる!
なんとも素朴だけれど改めて食べると美味しい
そんな煮物が少しだけ”おまけ”で付いてくる。
これは良さそうです。

早速、各メーカーから容器のサンプルを取り寄せました。
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実際に煮物を作って詰め、弁当との兼ね合いを調べます。
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(比較のために肝油ドロップを置いてみたのですが、肝油ドロップ缶自体あまりぴんとこない物ですよね。すみません)


最終的に選んだのは小さな丸カップ。
この ”ちょこっと” な感じ、伝わりますでしょうか。
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醤油臭くて垢抜けない”煮物” がここまで軽やかになり、大満足です。
こんな一口が付いていたら嬉しいな(自分が)。

隣の席の人がこのカップを手にしていたらひと目で分かりますね。
「おっ。山田課長、 ”未来” 行ってきたんだな」って。
アイコン効果もばっちりです。

”煮物カップ” は他にも幾つか秘密があるのですが、
これ以上お話するのも芸がないので、続きは手にとってお楽しみください。

「日替わりだけど駅弁ぽい」を巡る旅にお付き合い頂きありがとうございました。
いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/