小さな定食屋がチェーン系飲食店で修行する理由
こんにちは。このブログは『あなたの普通を誂える』、未来食堂が開店するまでの日記です。
さて、以前から開店にあたって各飲食店で修行をしているという話を書いています。その中でも特にチェーン系飲食店で働いている話をすると、
- それはいいアイデアだね!
- え?なんでチェーン店なの?
という二通りのリアクションを貰うことに気が付きました。
前者の方には特に説明はいらないのですが、なぜチェーン系で修業をする必要があると感じているのか、そのことを簡単にまとめておこうと思います。
「え?なんでチェーン店なの?」と返す人の特徴
これは一概には言えませんが、自分的には意図しない返答であったため、どういう人達がこう返すのかを思い返してみました。
- 飲食店でのアルバイト等経験がない人
- 逆に、飲食一筋の 職人/商人 ど真ん中の人
後者については、「複数の会社や職で、自分の必要とする経験を得る」という考え方がそもそもあまりないからかもしれません。考えてみると、リクルートなどが転職を啓蒙しだしたのもごく最近の話。終身雇用が当たり前だった世代には、必要な経験を複数箇所から分散して摘みとる、という考え方が不思議なのかもしれません。
改めて、チェーン系飲食店で働く理由
これは、チェーン系飲食店が持っている以下のノウハウを考えると見えてきます。
- 効率的なオペレーション
- 効率的なオペレーションガイド
- 食品衛生などのリスク管理
なぜその飲食チェーンがヒットしたのかは様々要因がありますが、少なくとも「効率的」で「今まで大きなトラブルが無かった」ことは絶対の条件としてあげられます。
未来食堂はお客様の要望を聞いておかずを誂える形のため、チェーン展開はほぼ不可能です(少なくとも今は見えていません)。
「それならば何故チェーン系で働くのか?」については上記のノウハウを考えると見えてきます。
誂える(一人一人に異なる一品を提供する)ためには、効率的なオペレーションが不可欠です。
また、手伝いの方が入る場合にはそれを効率よく伝える必要があります。
今はまだ机上の空論ですが、誂えは "徹底的な効率化の末に実現できるもの” だと予感しています。
「メニューがない??一人一人に違うものを出す??そんなこと本当に出来るの??」
この疑問はやはり多くの方から頂きます。
もしくは、高価格帯になるのだろうと思っている人もいます。
- メニューがないわけではなくて、定食に何となくついてくる名もない小鉢、あれをカスタマイズするんだよ(※1)。
- 「誰しもがふさわしいお店」がコンセプトの深い所にあるから、高価格帯ではなく普通の定食屋だよ。それに高価格帯でお客様の要望を聞く形式は既に存在するので、そんなことを今更やるわけではないよ。
ということを説いてはいますが、そうやって誤解させる以前に上手く説明できないか、HPや料金体系などから常に見直しを図っています。
少し話がそれてしまいましたが、例えばチェーン系では食材は既に計量済みだったりします。厨房機器が効率的に設計されていたりします。飲食は古くからある業種のため、PDCAサイクルを回して業務改善を図る、という形は一般的ではありません。いわゆる「ウチのやり方はこう」が蔓延しています。そんな中で、一店の方法だけを絶対視するのではなく色んな方法を吸収していく形が良いかと考えました。
また、チェーン店での味付けは「大多数に支持されている味」でもあります。
自分の好みはあっても、皆がどの辺りを美味しいと思っているのかは知っていて損はありません。
長々と書いてしまいましたが、そういうことを考えてチェーン系飲食店にて勤めています。色んな裏話もあるのですがそれはまたの機会に。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
※1
もちろん小鉢以外の誂えも可能なのですが、よくある形としては小鉢の誂えになるだろうなと。「ハンバーグ定食に、ちょっとピリっとしたおかずを付けて」みたいなね。