メディアに『切り取られる』ということ(小さな定食屋に多くのメディアが押し寄せたことに思うこと)
こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"をあつらえる』未来食堂が開店するまでと、その後の日記です。
未来食堂は先日、PR Table様に取材いただき、その記事が大きく反響を呼びました。
https://www.pr-table.com/miraishokudo/stories/24
(本日11月23日時点で30000シェア程度)
その結果お店がてんやわんやしたことは以前お話しましたが、お店の中以外にも変化がありました。色んなメディアからひっきりなしに取材を依頼されるようになったのです。
取材ラッシュは予期していなかった
自分としてはそんなに奇をてらったことをしていたつもりもないので、あまり心構えもしていませんでした。『”あつらえ”は珍しいし、テレビ受けしそうだからどっかで芸能人とかが来るのかもなあ』くらいは思っていましたが、元エンジニアである自分の経歴だとか、未来食堂の中のシステム自体が注目を浴びるとは思ってはいませんでした。
PR Tableさんの記事がバズったのが10月29日。
ここから一ヶ月経たない今(11月23日)、既に9社取材を受けて、現時点でまだ4社控えています。
これはあまり例がないことなのではないでしょうか。
ですので、こういった取材ラッシュで何が起こったのか、自分がどう感じたのかを、書き残しておこうと思います。
また、これらの記事は今はまだほとんどが公開されていません。
公開されると、また別の次元の気付きや事象がやってくると思うので、今のうちに、今の自分の気持ちで書きとどめていようと思います。
休日も取材に時間をとられる
普段はお店で営業をしているので、取材のために別枠を設ける必要があり、けっこう大変だなと思いました。
同じことばかり聞かれる事が多々ある
経歴など聞かれるのは仕方ないにしても、それ前も話したなあ…と思うことが結構ありました。仕方ないとは思うのですが、インタビューという限られた時間内でその繰り返しが行われる結果、未来食堂のごく表層的な部分(システムの解説など)でインタビューが終わってしまう事も結構あり、受けてる私側からすると、どうなんだろうなあと思いました。未来食堂は多面的な面白さがあると思うので、ある種その面白さの迷宮に嵌り込んでしまって、表層をなぞるだけで何時間でも過ぎてしまうのでしょう。
これについては正直、自分側(インタビュイー側)が会話の流れを持っていける訳ではないし、その責務もないので、それでインタビュアー側が満足していれば良いのですが。
その点、このブログを遡って読みインタビューに臨んでくれた記者さんがいて、会話が進み、良かったなとおもいました。
私の経歴を聞いてしまうと、多分面白いところ(ツッコミ所)がたくさんあってどんどん脇道にそれて、話が面白くはあるけれど、未来食堂の深い所について話をする時間的余裕がなくなってしまうのだと、多くのインタビューを経て思いました。
擦り切れるような感覚
自分の経歴を何度も話していると、それ自体でエネルギーを使うということもあってか、『自分』が擦り切れてしまうような感覚があり、結構、楽ではないなあと思いました。
「私」と「私の作品(未来食堂)」があり、私が望むべくは後者に光が当たることなのですが、人物像にインタビューするほうが面白いインタビューになるからか、PR Tableさんが「私」をキャッチーに切り取ってくれたためか、「私」側に光が当たる事も多く、結構しんどい気もするなあと思いました。
興味を持たれたポイント
インタビュアーの皆さんが切り込む軸は色々あり、なるほど未来食堂は多面的な面白さがあるんだなと気づきました。開店前、未来食堂のコンセプトが伝わらないことに悩みもしましたが、今の状況を鑑みるに、仕方がなかったんだなと改めて思いました。
本当は、あつらえ自体ですらとても表層的な話です。
「あつらえを通して自分が実現したいこと」は、上にも書いたとおり別にあります。
でもそこまで伝えきる必要はありません。
数%を感じただけでも”なんかいい店そうだな”と思えるくらい、コンセプトの母体をふくらませていけばいい。最近はそう思うようになりました。
コンセプトは、5%も伝わらない。 - 未来食堂日記(飲食店開業日記)
今まで俎上に載った観点はこんな感じ。
「あつらえ」の効率性
在庫ロス削減や付加価値を高められること に焦点を当てた取材
『新しい事業構想』としての未来食堂
『オープンソース』としての未来食堂
ビジネス面から見た未来食堂(収益性など)
農業生産者から見た「あつらえ」
人(私)を見る
「まかない」をしている人を見る
体験系も多いです。
「あつらえ」を体験する
実際に「あつらえ」を体験する取材
「まかない」を体験する
実際に「まかない」を体験する取材
意外なのは、飲食のベクトルではまだそんなに光が当たってないこと。
例えば『ランチを一人で四回転』の秘訣は結構色々あるのですが、同じ飲食業界の人にしか切り取れないのかもしれない。飲食業界からの取材依頼はまだないです。動きの速さはやっぱりIT業界ピカ一だなと感じました。
ただ、こうやって取材を通して思うことは、一面的にしか切り取れないのだなという事です。仕方のないことなのか?自分の言語化がまだ甘いからなのか?果たして、では多面的に全てを切り尽くすことが善なのか、そもそも善とは何なのか、、考えることはたくさんありますが、今の思いを絵にするとこんな感じ。
”ココ”って、一体なんなのだろう。
客席12席の定食屋にしたら、過剰な広報活動とも言えます。ですが、未来食堂の理念は『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』を作ること。そしてそれを知らしめること。
飲食店の今の形から新しい何かに転化する事が自分の責務だと考えると、店のサイズを考えて取材を断るという判断は無いし、これからもないと思います。
(ちなみにこの理念についてインタビューで話せたことはまだ一度もありません。笑)
詩的な表現になって笑われるだろうと自覚はありますが、こうやって多くのメディアで伝播されることによって、未来食堂を必要としていた過去の自分(の様な人々)と、未来食堂を更に進化させてくれる自分より優秀な誰か、に届くと、その一縷の望みをガソリンとして動いています。
未来食堂のこと(というか、友達のこと)|kon|note
『見つけて下さい』って思っています。
そして、『見つけ出す』と、世界の淵で一人で流す涙もないような、そんな私だった私を大声で叫んで引き止めたいと、思っています。多分に情緒的なので、“詩的な表現”との免罪符でこの辺りは書き逃げしようと思いますが。
切り取られて消費されていくこの先に何が待ち受けているのか。
記事の反響は、また随時、報告出来ればと思っています。
とりとめなくて申し訳ありません。こんなまとめでも結構疲れる。。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
http://miraishokudo.com/