飲食店の物件探し(神保町でドンピシャの物件を見つけるまで編)
こんにちは。
このブログは『あなたの"ふつう"をあつらえる』未来食堂が開店するまでの日記です。
先日、未来食堂の物件が見つかったとお話ししました。
今日は、この日本教育会館様と出会うまでの店舗物件探しの軌跡を書き留めようと思います。
『物件探しは辛く険しい』?
飲食店を開業するにあたり「物件探しはとにかく大変だ」と良く聞きます。
”一年くらい探し続けるケースもあるみたいだし、何年探しても見つからなかったらどうしよう”と不安に感じていました。
物件探しはタイミング。
しかも自分が探している場所は、神保町エリア内の更に限定した範囲が希望エリア。
果たして見つかるのだろうか、不安になりながら物件を探し始めました。
物件希望エリア
ここで、自分の物件に対する希望理由を纏めておきます。
自分の場合は「神保町1丁目の南側」とものすごく狭くターゲットを定めていました。ここが希望だったのはいくつか理由があります。
駅近
「隠れた飲食店」も良いのですが、やはり駅近くのほうがお客さまにとっても便利です。
定食屋は日常使いの業態でもあるため、通いやすい駅周辺がいいと思いました。
一回転で十分収益があがるようなバーや小料理屋などでは、”少し離れた路地裏”でもいいのかもしれませんが。
繁華街からある程度距離がある
駅近くの北側、この辺りは大学が近いこともあり、大箱のチェーン系居酒屋からコジャレたワインバルまで、飲食店激戦区となっています。
賑わっていると、流れのお客様(店の前を通る人)が多くなるのがメリットとして挙げられますが、未来食堂は一人で切り盛りするお店。
それに「あつらえ」のある、知る人ぞ知るような特別感のある食堂です。
そう考えると、ワイワイしすぎている繁華街から少し外れてもいいかなと考えました。
家賃がそこまで高くない
高回転率を前提としている繁華街は家賃が高いです。
神保町は都内一等地、1階テナントであれば坪単価2万〜が普通。
見ていた中には坪4万なんて物件もありました。
繁華街から離れていれば、少しでも家賃は安くなります。
※これに関しては、このエリア(↓)は一等地ということでほぼすべての物件が坪2.5万〜でした。
あんまり安くは無いです(というか高い!)
希望エリアの半端無い都心感!
真ん中の緑は、公園ではなくて皇居です。
物件探しの流れ
実際に自分がした行動はこんな感じです。
インターネットでの物件探し
■期間
会社辞めてすぐ〜物件見つけるまで(約1年間)
■メリット
ネット上で物件探しができるので、思い立ったらすぐ探せます。
空いた物件をいち早くメールで紹介してくれるサービスもあり、
細く長く継続して物件探しが出来る点が、インターネットの利点です。
■やったこと
居抜き市場や飲食店ドットコムなどの店舗物件仲介サイトを使って相場感を掴みました。
実際に、後述する日本教育会館様にテナントを見つけたあとも最終チェックとして
より良い物件がないか、確認することもしました。
■感想
都心は高いなあ…と思いつつ、意外と物件ってあるものなんだなと一縷の望みを掴んだりしました。インターネットで探せるのはやはり便利で、駒込あたりもどうだろうと、いくつかの可能性を即座に調査できるのはずいぶん助かりました。
希望エリアを徘徊
■期間
1日だけ(2月28日に徘徊&聞き込みして、ドンピシャの物件を見つけたので)
■メリット
実際の土地を歩くと、インターネットには出ていない物件が転がっている事がままあります。
そういう物件が見つけ出せます。
■やったこと
神保町をウロウロして空き物件を探しました。
札にかかっている不動産に電話をかけたり、ビル内も歩いて隅々まで調べました。
■感想
実際は募集中の札すらかかっていないテナントを見つけ出せたので、やはり歩いてなんぼだなと思いました。
希望エリア内の不動産屋に聞き込み
■期間
1日だけ(2月28日に徘徊&聞き込みして、ドンピシャの物件を見つけたので)
■メリット
インターネットには出ていない物件が転がっている
■やったこと
「7.5〜9坪で、出来れば1階/2階/地下1階で、この神保町付近、中でも神保町1丁目の南側で、坪2.2万までで、物件ありませんか?」と聞いて回ります。
大体が即答で「ありません」と返事をもらいましたっけ。。
「この辺りは人気エリアで出てきてもすぐ埋まるし、家賃ももっと高い」とのこと。
■感想
何店舗か紹介され、実際に内見もしたのですが、駅から離れすぎていたり、
繁華街方面だったりして、「これだ!」とひらめくものはありませんでした。
良い不動産屋に出会えなかった
物件探しをしている間は良く落ち込みました。
というのも、なんだか粗末に扱われている事が手に取るように分かるのです。
こちらとしては、大事な物件探し。
大げさな言い方で言えば人生を賭けている訳だし、
未来食堂自体も、”あつらえ”を実現できる今までにない飲食店なのです。
『未来食堂の素晴らしさが分かってもらえれば、きっと不動産屋もみんな乗り気になるだろうに…』。
この種の願望は甘えではありますが、
あまりにもけんもほろろな対応や、不動産業特有の薄っぺらいごまかし笑いみたいなものを見ていると、どんどん気分も下向きになっていきました。
内見や相談をした後は御礼のメールを書き、内見する時は簡単でも手土産を持って行き。
でもお礼のメールに返信が来たことはついに一度もありませんでした。
彼らにしてみたら、10坪未満のお店なんて、大きなお客様でもないわけです。
しかも脱サラ飲食組‥。掃いて捨てるほどいる夢見る夢子ちゃんに映っていたのかもしれません。
良い物件に出会えなかった
10坪未満で払える家賃となれば、いわゆるラーメン屋が入っているビルの二階、程度になります。
坪数的にラーメン屋や牛丼屋が一致するんですね。
資本主義的な猥雑さが満ち溢れ、「牛丼屋の二階かあ…」としっくり来ないものがありました。
内装は昭和モダンレトロをテーマにするし、カウンターだけの定食屋だし、もうちょっと静かな所がいいなと思っても、商圏を考えるとそれも出来ない。
ビジネスを考えるとこんなものなのかな−と悩んだりしました。
日本教育会館との出会い
やはり良い物件はない。
そもそも狭い範囲なので物件自体がないわけです。
そこで、第一希望だったこのエリアから、
このくらいまで範囲を広げて探してみることにしました。
ウロウロして、やっぱりないなあと、この辺りを歩いていた時
目の前に、やたらレトロなビルが現れました。
いいなあー。こういう感じいいな−。と見てると、地下一階が飲食店街のようです。
ん?
よく見てみると、店舗看板の下に空き枠があります。
ひょっとして、空いてるかもしれない。
淡い期待を抱いてこのドアをくぐりました。
やたらオシャレ感のない階段を降りて行くと、
「本当にここ飲食街なの?」とおもうくらいそっけない廊下が現れ
「テナント募集」の看板が。
「こんな地下一階の廊下に募集の張り紙出しても誰も見ないよ!」と思いつつ1階の事務所に聞きに行くと、まさに探していた7.5坪。
「貸せるのかな−。ちょっと詳しいことはよくわからないです」とのことで、
数日後連絡を頂く約束をしてこの日は終わりました。
こんな募集状態でしたから、もちろんインターネットにこの物件が載っていることもなく。
歩いていて発見した物件でした。
これが出会いでした。
振り返り
物件探しは縁だし、「見つけた!」と思ってもそれよりももっといい物件が出てきたらどうしようと不安に思っていました。
でも、「あ、ここだな」と思う場所に出会うと、不思議と迷いがなくなりました。
実際に街を歩いてみて、その日のうちに出会えたというのも、
神保町が未来食堂を呼んでくれたような‥気持ちもします。
まだまだ正解だったかは分かりませんが、
「あーほんとにレトロなビルだなー」と、皆様に思って頂ければとても嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。いつか、お会いしましょう。
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